バズった香水は本当にいい香水なのか
TikTokで#PerfumeTokを覗くと、必ず出てくる名前がある。Lattafa Yara。「甘い」「モテる」「この値段で信じられない」。動画は何百万回も再生されている。
正直、バズった商品には身構える。SNSの熱狂と実際の品質は必ずしも一致しない。そう思いながらスプレーした。
……あ、これは確かにいい。
香りの構造
トップ:タンジェリン、オーキッド
ミドル:トロピカルフルーツ、ヒーリオトロープ
ベース:バニラ、ムスク、サンダルウッド
第一印象は「フルーティで甘い」。タンジェリンの爽やかな柑橘が最初に来て、すぐにトロピカルフルーツの甘みに移行する。マンゴーやパッションフルーツのような、南国のジュース感。そしてベースのバニラとムスクがすべてを柔らかく受け止める。
「アラビアン香水」と聞いて構える必要はまったくない。ウードもスパイスも入っていない。むしろフルーティフローラルの甘い系統で、日本のドラッグストアに並んでいても違和感がないくらい親しみやすい。
持続は7時間前後。拡散力は中程度。KhamrahやAsadほどの押し出しはなく、穏やかに甘い。
誰のための香りか
甘い香りが好きな人。フルーティ系が好きな人。具体的に言うと、VersaceのBright CrystalやAquolina Pink Sugarあたりが好きなら、Yaraはかなり刺さると思う。
男性が使えるかと言えば、かなりフェミニンだ。甘さに振り切っているので、ユニセックスとは言いにくい。ただ、海外のレビューでは男性がレイヤリング(重ねづけ)のベースに使っている例もある。香水に性別のルールはないので、気になるなら試せばいい。
価格以上の価値
正直に言って、手頃な価格設定がこの香水の最大の強みだ。「ちょっと試してみよう」と手を出せる金額。それでいて安っぽさがない。バニラとムスクのベースは丁寧に作られていて、時間が経ってもガサつかない。
ボトルもきれいだ。淡いピンクの液体にゴールドのキャップ。ドレッサーに置いて映える見た目をしている。このへんのプレゼンテーションのうまさは、Lattafaが急成長した理由のひとつだと思う。
気をつけること
甘い。とにかく甘い。それが魅力であり、唯一の弱点でもある。真夏の日本ではバニラの甘さが重く感じる可能性がある。春か秋がベスト。冬でもいい。
あと、甘い香水は好みが分かれる。「いい匂い」と「甘すぎ」の境界線は人によって違う。つけすぎると一気に後者に振れるので、1〜2プッシュを守ったほうがいい。
YaraにはMoiやTousの派生ラインもある。試してみたくなる気持ちはわかるが、まずはオリジナルのYaraから入るのが無難だ。派生は香りの方向がけっこう違う。
バズの先にあるもの
TikTokのバズは一過性のこともある。でもYaraは2023年から2026年の今まで、ずっと売れ続けている。それはSNSの力だけでは説明できない。リピーターがいるということだ。
この価格でこの品質。アラビアン香水への入口としても、甘い系の一本としても、試す価値は十分にある。バズったから良いのではなく、良いからバズった。Yaraに関しては、そう言い切っていいと思う。