Lattafaの中で一番「軽い」やつ

KhamrahもAsadもYaraも、それぞれに濃い。甘かったり、パワフルだったり、トロピカルだったり。Lattafaの香水はどれも個性が強い。その中にあってFakharは異質だ。軽い。爽やか。つけた瞬間に「あ、これ日本で使えるな」と思える。

香りの構造

トップ:ミント、レモン、グリーンアップル
ミドル:トンカビーン、ゼラニウム
ベース:バニラ、シダーウッド、ムスク

ミントがパキッと香って、レモンとグリーンアップルが追いかける。清涼感がある。ガムっぽいと言えばガムっぽいが、嫌な人工感ではなく、もう少し品がある。ミドルでトンカビーンの甘さが出てくると、爽やかさと甘さが混在する不思議なバランスになる。

この「爽やかなのに甘い」構成、どこかで嗅いだことがある人は多いはずだ。

Versace Erosとの比較

そう、Versace Erosだ。ミント×バニラ×ウッディという骨格が共通している。

似ているか? 似ている。とくにミドル以降の甘さが乗ってきた段階では、かなり近い印象を受ける。ただ、ErosにはFakharにないアクアティックな深みがあるし、Fakharのほうが全体的に軽い。Erosが「クラブのVIP席」だとすると、Fakharは「天気のいい日のテラス席」。同じ系統の香りだが、着地点のテンションが違う。

Erosよりかなり手頃な価格で、方向性の似た香りが手に入る。この事実は大きい。

日本との相性がいい

Lattafaの他の香水は「日本で使うには注意が必要」と何度も書いてきた。Fakharはその心配がほとんどない。

ミントとシトラスのトップは日本の春夏にちょうどいい。甘さも控えめで、オフィスでも2プッシュまでならギリギリ許容範囲だと思う。電車でも隣の人を不快にさせるレベルにはなりにくい。「アラビアン香水を試してみたいけど、攻めすぎるのは怖い」という人に最初に勧めたいのがこれだ。

持続は6時間前後。Lattafaの中ではやや短めだが、軽い香りとしては十分。

この価格の意味

Lattafaの中で最も手頃な価格帯に属する。ランチ数回分の金額で、ちゃんとした香水が手に入る。

「とりあえず一本、Lattafaを試してみたい」という人にとって、Fakharのハードルの低さは武器だ。金銭的にもキャラクター的にも。失敗しても痛くない。そして、失敗する確率が低い。万人受けする爽やかさだから。

弱点もある

個性が薄い、と言えなくもない。KhamrahやAsadには「こいつにしかない何か」がある。Fakharは良くも悪くも無難だ。ミント×バニラという組み合わせは世の中に溢れているし、Fakharだけの突き抜けた特徴は正直見当たらない。

秋冬に使うにはやや物足りない。気温が下がると軽さが仇になって、存在感が薄れる。春夏専用と割り切ったほうがいい。

入口としての一本

Fakharは「Lattafaで一番いい香水」ではないと思う。でも「Lattafaで一番最初に試すべき香水」の候補には確実に入る。リスクが低くて、コスパが良くて、日本の日常に溶け込める。その三拍子が揃っているこの価格帯は、なかなか見つからない。

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