この一本がすべてを変えた
Dupe香水の歴史を語るなら、Armaf Club de Nuit Intense Man——通称CDNIM——を避けることはできない。Creed Aventusの代替として登場し、世界中の香水フォーラムを騒がせ、「手頃な価格でAventusの8割が手に入る」という事実を突きつけた。
Aventusとの圧倒的な価格差が意味するものについて、世界中で何万もの議論が交わされてきた。CDNIMがなければ、Dupe香水というカテゴリーがここまで広がることはなかっただろう。
香りの構造
トップ:パイナップル、ブラックカラント、アップル、ベルガモット、レモン
ミドル:バーチ、ジャスミン、ローズ
ベース:ムスク、アンバーグリス、バニラ、シダーウッド
ノート構成はAventusとほぼ重なる。パイナップルの甘酸っぱいオープニング、バーチのスモーキーなミドル、ムスクとアンバーのクリーンなベース。「フルーティスモーキー」という言葉がこれほど的確にハマる香水も珍しい。
EDT vs EDP、どちらを買うか
CDNIMにはEDT版とEDP版がある。これが初心者を悩ませる。結論を先に書く。
EDP版を買え。
EDT版は初期のCDNIMの名声を築いた功労者だが、レモンの酸味がかなり強く、一部で「レモン洗剤っぽい」と言われてきた。好みの問題だが、万人受けするのはEDP版のほうだ。EDP版はパイナップルの甘さとバーチのスモーキーさがよりバランスよく出ていて、Aventusとの類似度も高い。持続力もEDPのほうが長い。
EDT版のほうが軽いので夏のデイタイムには向いている、という見方もある。だがそれなら他にもっと適した選択肢がある。総合力でEDP。
Aventusとの差は正直どこに出るか
何度も嗅ぎ比べた。トップの30分間は相当似ている。パイナップルとスモーキーさの組み合わせ、あの独特の「成功者の香り」感。ブラインドで当てられる自信は、正直ない。
差が出るのはミドル以降だ。Aventusはバッチによってはバーチのスモーキーさやフルーツの甘さの比率が異なるが(そう、本家もロットによって香りが違う。有名な話だ)、総じてドライダウンが上品。時間が経つほどムスクとアンバーの繊細な層が現れる。CDNIMのドライダウンはもう少しフラットで、バニラとムスクにすっと落ち着く。
例えるなら、Aventusは手書きの手紙、CDNIMはフォントの美しい印刷物。伝わる内容は同じだが、質感が違う。
日本での立ち位置
CDNIMはDupe香水の中では比較的使いやすい。シトラスとフルーツのフレッシュさがあるので、オフィスでも2プッシュなら問題ない場面が多い。ただし真夏は1プッシュに抑えたい。パイナップルの甘さが高温で増幅される。
春秋がベストシーズン。ビジネスシーンからカジュアルまで幅広くカバーできる。「汎用性」という点では、Lattafaのどの香水よりも上だと思う。KhamrahやAsadは使うシーンを選ぶが、CDNIMはどこにでも連れていける。
なぜ今でも売れ続けるのか
CDNIMが発売されてから何年も経つ。その間にAventusクローンは無数に生まれた。NajdiaもExplorerもAlexandriaも。それでもCDNIMは売れ続けている。理由は単純で、バランスが良いからだ。香り、持続力、価格、入手のしやすさ。どこにも致命的な弱点がない。
「一番Aventusに似ているか」と言われると、近年はもっと精度の高いクローンもあるかもしれない。でも総合力で選ぶなら、CDNIMはいまだに第一候補だ。実績と信頼がある。
Dupe香水に興味があるなら
最初の一本としてCDNIMを勧めるのは、もはや定番すぎて面白みがないかもしれない。でも定番になるには理由がある。手頃な価格で「Dupe香水とはこういうものか」を体験できる。そこから先——Khamrah、9PM、Oud for Glory——に手を伸ばすかどうかは、CDNIMを嗅いでから決めればいい。
原点にして、いまだに頂点。CDNIMはそういう一本だ。